谷川流『涼宮ハルヒの分裂』+『涼宮ハルヒの驚愕』

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの驚愕(後) (角川スニーカー文庫 168-11)

!!ネタバレあり!!



 相変わらず宇宙人未来人超能力者たちのいうことはさっぱり意味がわからないからどれほど重大で深刻な事態なのかもわからない。したがって読者視点で起きている危機や問題は長門が伏せったりハルヒが囚われて殺されそうになったりということだけだ。この辺の問題意識はキョンと同じだろう。
 ものすごいライトノベルがあると聞き及び手にした『憂鬱』のときも思ったが、そんな大したことない(ように見える)話で一作品(しかも三冊分)書いてしまうというのはすごい話だ。いや、ハルヒが生死の危機にさらされるのは重大事件かもしれんけど。


 ところでハルヒってもう奇天烈行動のお化けじゃなくなってるよね。コマンド「男子がいるのに突如着替えだす」とかも選択しなくなった言われてるし、そんなに変なことしてないよね。日中の過ごし方とか全然描かれてないけどクラスの女子たちと普通に話しててもおかしくないよね。
 やっぱ話が進みキョンに認められたり信頼されたりするようになる(=ただの変人ではなくなる)につれ初期設定との齟齬は出てくるよな。あと未来ハルヒが文章だけでしか描かれていないにもかかわらずすごく可愛く見えたので素晴らしかった。もともとハイスペックだったのにそこで成長が緩やかになるではなく他の一般的人々同様普通に成長してもっとすごくなったとか言われたらそりゃすごいよ。すごい。


 ヤスミはやはり全然普通の人間じゃなかったのに小泉の「保証」とはいったいなんだったんだろう。もちろんはなっからまったくこれっぽっちもミジンコの涙ほども信じていなかったけどなんだったんだろう。


 佐々木は可愛かった。今やってるゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』の「東郷あい」に似てる。東郷あいもLv親愛完全MAXにまで育ててもいいかなって思うくらいには可愛いと思ったんだけど何だ、ボーイッシュ系一人称ボク二人称キミっ娘に対する属性でもついたんだろうか可愛い*1。精神年齢が高かったり変わり者だったりするが故のちょっとした孤独を目立つ形でないにせよ救ってもらったってのはちょっとした感動話ですよ。彼女にとってキョンと机をくっつけていた時間は本当に救われていてこの後の人生でもずっと大事な記憶になるのだろうなーとか。これってなんか乙一を思い出す。いや、乙一の本じゃなくて乙一。『GOTH 僕の章』あとがきにおける、

高専に通っていた五年間、友人は一人もいませんでしたが、クラスメイトの一人と三日に一回くらいの割合でライトノベルの話を少しだけするのが結構楽しみであり救いでもありました。

って奴ね。うぅん、佐々木さん再登場してほしいな。
 結論としては、ハルヒもヤスミも佐々木さんも可愛いってことで(そればっかだな)。




 とりあえず最後まで読んでも残ったままだった謎は、「なぜ例のアナグラムを解くのにアルファベットにまで分解する必要があったのか」ってことです。玩具修理者みたいなマネしやがって。そのままいけるだろ。

*1:いや、「東郷あい」はボクっ娘ではなかった