料理・グルメ作品感想会〜延長戦〜 『だがしかし』

 サンデーの新連載。駄菓子を題材にしたグルメ作品。
 最初は「ふ〜ん……(ギャグも上滑りしてる感あるし、いろいろ拙いなー)」くらいに感じていたのだが、二三週後にはすでに楽しみにしていて今や四大週刊誌内で『ハンター』と並んで一番レベルに待ち遠しい作品となってしまった。なんだかんだで連載始まると面白い『ハンター』と同じて……『ハンター』連載してなきゃ一番だよ。すごいな。いや、すでに『ハンター』を超えて一番楽しみかもしれない……。なのに一話8Pて……! いや、そこは6Pでもいいから最初そうだったように、あるいは『姉ログ』のように2話載せてくれよ……!


 最近、料理・グルメ作品をレビューしまくったばっかだけど、ここへ来てこうも楽しみなグルメ漫画*1が出てくるとは……。でも新連載で単行本もまだだから書影も載せられないんだよなぁ。それがすげー残念。ページ数少ないから単行本がいつ出るかわからん。一年くらいかかるんか?


 ど田舎で家が駄菓子屋やってる男の子のもとに都会から駄菓子マニアのお嬢様が訪ねてくるって話なんだけど、俺、人が自分自身の価値観で流行に流されず何かを楽しんでるのがすごい好きなんだよね。このお嬢様のキャラ自体は、けっこう典型的な「金持ちだけど庶民的」キャラで*2悪く言えばあざとささえ感じられてしまうキャラだし、漫画だということを理解した上でなお「こんな奴いねぇよ」と一蹴されてしまいそうなキャラなんだけどなぁ。でも唯一目が特徴的。瞳が小さくて三白眼気味なのは作者の特徴なんだろうけど、眼がぐるぐる〜ってなってて、ちょっとイっちゃってて危ない人感が出てる。さらに倒錯してる感じがあって、でも妙に魅力的なキャラになってるっていう。




 この、ちょっと頭イカれてんだけどまっすぐ情熱的で良いやつでもあるヒロインのお嬢様キャラが良かったね。身も蓋もなく平たく言うと涼宮ハルヒ(系)なんだけど。
 やっぱ、男はこういう女の子に振り回されたい欲求あるのかなぁ。かわいい。あとこないだ出てきた主人公が好きな幼馴染の遠藤サヤ。オーソドックスだけどあの回もグッと来てしまった。主人公くん周りの設定――漫画家目指してるとか、母親の姿が見えないとか――は、今のところ何も効いてないけど。


 駄菓子を紹介するグルメ漫画という設定が独特すぎるせいか、「駄菓子の販促広告漫画」みたいに見える。そういうのがあればこんなんじゃないかなーと。でも、グルメ一辺倒じゃなく、ラブコメ的な要素も出てきたし、実食シーンも見せ場として機能しているし、総じて満足。
 ちなみに、料理作品なら料理のメジャー度・マイナー度・創作難度、グルメ作品なら作中の料理を食べられる難度にはぜったいに注目したいわけだが、本作の場合……、


 作中料理入手難度:D(非常に易しい)


 駄菓子屋それ自体にはなかなかお目にかかれなくなった昨今だが、スーパー・コンビニのお菓子売り場には駄菓子コーナーが存在しており、有名どころは簡単に入手可能。そして当然駄菓子だけに安い。入手難度が作品の評価に直結するわけではないが、ダウナー(貧乏食)傾向にある今の時代なら入手難度は低い方がいいと言えるかもしれない。入手難度の低いものの弱点は「珍しくなさ」なのだが、駄菓子の場合「懐かしさ」なんかのプラス補正もあるし、本作では実に楽しそうに、おいしそうに食べていて読んでるこっちも食べたくなってしまうためその点は問題ない。
 しかしそうは言っても駄菓子によっては本当にマイナーなのもあって、食べたことないやつとか、手に入りにくいものとかあるんだよなぁ。味にヴァリエーションがある駄菓子でも一番メジャーな味しか置いてなくね? 「ブタメン」のとんこつ以外とか食べたことねーぞ。あと通販だと見つかる駄菓子もあるけど必然大人買いになってしまうしなぁ〜。大人になってもビールが苦手な俺は「生いきビール」を飲みたいんだけど、どの駄菓子も通販だと平均20〜40袋。家が駄菓子屋になるわ。


 そんなこんなで最近は、この作品読んでから、その回に出てきた駄菓子を買って食べるのが楽しみであり、習慣になりつつある。


  • 絵。上手いと言う人はいないだろうけど、女の子は少年誌らしい可愛さがあるし、人物の手には何やらこだわりあるいは真剣さのようなものを感じるので上手くなるタイプの人だと思う。上手くなることで絵の魅力が無くならなきゃ良いなーというおせっかいな心配をしてしまうのはそれだけ気に入ったから。

*1:料理するのではなく、現実にある食べ物を紹介・レポする系の作品。俺が勝手に言ってるだけだから一般的かどうか知らない。

*2:子どもの頃はおこづかいがパンピー並みに少なかったらしいが