2014年01〜03月期アニメ感想 2 『咲-Saki-全国編』/『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』/『ドキドキプリキュア』

「咲-Saki- 全国編」 二 [Blu-ray]
 なぜだか一話見たときに「くっっそつまんねえー!」ってなった。急に新キャラがたくさん登場したことに嫌気が差したのかもしれない。


 この作品、あらためて歪な作品だなぁって思う。とにかく変なところがあり過ぎて、これだけ変なのはこの作品がオリジナリティに溢れすぎてる証拠だなぁって感じるくらい。
 あと妙にフォーマットが整ってる作品。構成が単純と言うか。
 『ひぐらしのなく頃に』で、作者が「この作品はルールさえわかれば誰でも二次創作でオリジナルの○○編が作れるんですよ」と言ってたけど、ちょっと自由度が高すぎるし大変そうなので原作そっくりレベルのコピーはできそうにない。でも本作は作れそうな気がする。そのくらいフォーマットが整っている。『絶望先生』まではいかないけど整っている。様式美。


 簡単な『咲-saki-』の作り方
  01.キャラクターを考える(5人*チーム数)
  02.一人ずつ活躍させ、全員に見せ場を作る。
  03.その際、回想を挟み、キャラを立てる。
  04.点数は適当に調整する。
  05.2〜4を繰り返す。


 で、二位でも通過できるし、負けても個人戦もあるというのは、わりとキャラを救いすぎてるというか、チーム戦をかなりどうでもよくしてる感あるよな。いや、本人たちにすればチーム戦の方が大事かもしれないし、負けたら十分悲しいだろうけど。
 これ、巫女とか姉帯とか顕著だったけど、全力出しきらずに負けさせることが可能になってんだよね。そのぶん団体戦の盛り上がりがなくなってんじゃないかって気もするなー。でもやっぱ立ってるキャラが個人戦でも見れるのは嬉しい。


 そしてあらためて、この人のキャラを創造する力というのは凄いなーと。ありきたりな記号の組み合わせだけではないんだよな。いや、記号感はあるけど組み合わせの妙なのか、単純に○○キャラって区分できないとこある。ちゃんと自分で考えてる感じがあるし、何よりデザイン込みでこんだけ大量に作ってるのはすごい。↑で「キャラクターを考える」とか簡単に書いたけどそんな簡単な話じゃないよ。むずいだろ。でも「キャラもの」である部分はでかいと思うので逆に言えば良いキャラ作れたら上手くいくのかもしれない。
 でもやっぱキャラによってはほとんど一つの表情しか描かれないところもあって、(多人数描かなきゃいけないからってのもあるだろうけど)、深みはないよな。そんなに掘り下げられない。


  • 能力で勝つときの演出がすごすぎて、すべてが満貫跳満役満クラスじゃなきゃふさわしくない気になるんだけど、意外と現実的に安い手だったりするよね。
  • ぜんぜん話すすまねー!
  • 和って『テニプリ』の幸村みたいな能力キャンセラーってわけではないのかね。「一巡先など見えたりしない……!」みたいな。
  • 今回の主要キャラでの白眉はやはり姉帯さんか。197cmの高身長! 魔の眷属か何かかと思わせる印象的な赤い瞳と下まつ毛! 日本人より外国人に近い「フェイフェイダヨー」的な喋り方! 「六曜」をモチーフにした多様な能力! 立ってるわー! コイツマジキャラ立ってるわー!
  • キャラの横向き時の絵を胸大きい順に並べた一覧をそろそろみたい。
  • チームに一人はメガネキャラいる気がするな。悪くない! けっして悪くないぞ……!!



世界征服~謀略のズヴィズダー~ 5(完全生産限定版) [Blu-ray]
 放送前〜第1話あたりの時点で「どんな話になると思ったか」「どんな話になってほしいか」かというアンケートを取ったら、わりとバラけた内容になっていたのではないかと思う。
 ウド川以外すべてが紛争地域という事実を伏せたまま進行せねばならない都合もあいまってか、ストーリーラインをハッキリさせず、謎を振り撒きながら進行する作品だった。一応、キャラデザが黒星紅白先生ということだったので、メチャクチャきつい話にはならず、萌え豚歓喜系の日常寄り作品になるのではという予想はあったけど*1、現代ものっぽく見えていて世界観が普通じゃない感じもあったし、どうなるのか全然わからなかった。
 こういう、独自の世界観を考えられて、よくわからない作品を作れる人ってすごいなぁとか思ってた。新しさを感じる作品だった。


 ……わけだけど、やっぱ謎をみて考察してっていう楽しみ方に重きを置いて見てた人にとっては残念だったのかなと思わざるを得ない。いろいろと伏線投げっぱなしだったよね、第一話プロローグ(アバン)の状況とかよくわかんないしなぁ。
 伏線回収しないからダメとか、謎が謎のままだからダメ、みたいなことは言いたくないんだけど、謎のままでいいものと、よくないものはあると思うんだよね。設定だけはあるけど、説明する尺がないから説明しないとかはいいと思うし、むしろちゃんと設定があるのなら、ちゃんと解説しない方が良いってこともあると思う。
 でもせめてストーリーの主軸にかかわる事柄……「『征服』とはなにか」「『ズヴィズダー』とは何か」みたいなとこは描いてほしかった。そうでなければあまりにつかみどころがなく、雰囲気アニメに偏ってしまう。もちろんそれが狙いという可能性だってあるけど。


 キーワードの『征服』をどう捉えるか、が一つのポイントになるだろうとか考えてた。
 この幼女が『征服』という言葉を拡大解釈で使っていて、本来の意味とはちょっと違うことになっているというのはすぐに分かる。嫌いなものが食べられるようになったり、できなかった鉄棒ができるようになったりするのは本来『征服』ではなく『克服』だ。で、世界中の人に会って、その人達の鬱屈を救うようなことを指して『征服』なんだろう。少なくとも悪い意味で言っているわけではないんだろう。みたいなことを考えはしたけれど、こういうところをハッキリ明かして、カタルシスを与えてくれたらもっと良かったかなと思うんだよな。
 もちろん『世界征服』=『世界平和』なのだろうことはなんとなく察せられるし、ヴィニエイラ様の目的「世界中の人間に会いに行く」というのも、人類が皆知り合いで兄弟で仲間になれれば世界平和を実現できるという考えなんだろう。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』というノンフィクション本があって、その舞台は50以上もの国の子どもが集まる学校なんだけど、それを読んでいたら、もし世界平和を可能にするなら必要なのはその視点の「広さ」だろうと思えてくる。だから人の輪を広げたり人種をごちゃまぜにしたりして「国>個人」を「国<個人」のようにしていくことはきっと正しいことなのだろう。なのでケイトの主張だけ見たらまんざら悪くないとは思うのだが、べつにそんなに世界平和に向けて奔走してる感じもなかったよね。


 良いところはやっぱ、世界観。「クルクル」なんてマスコットにもなってるし、カラフルだし、すげぇ画面が映えるじゃないですか。ああいうの、良いなぁって思うんだよね。いややっぱ画面が映えるって大事だなぁ。
 あと最終回。謎や伏線が明かされずじまいという点を除けば、細かい部分を伏線的に回収したり(一話で征服した戦車隊再登場、最終決戦用自販機でUDOエネルギー補給、自転車、逆上がりなど)ってあたりは好き。何より、「免許は?」つって色ぼけた年代物の自作みたいな紙切れだしてくるとことか、店の主人が顔も声も出さずガレージ越しに無言で肉まんとあんまん出してくるあたりのセンスとテンポの良さね。こういう個性的な部分を感じられるところが好きなんだけど、この作品はそういう、良い意味で変なとこ多くて楽しかったなぁ。


 そんなわけで本作を一言でいうとズバリ、「ミクロは良かったけどマクロがダメだった作品」だろう。ミクロ寄りでセンス系というとちょっと『ウィッチクラフトワークス』と似てるか? 俺としては好きという意見も残念だったというどっちの意見も分かる作品だったな。いや、でも俺はこういうぬるい方が好みなんでストレスなく見れたし、二期もあったら見ると思うし、どっちかというと好きだった側かな。



  • 観測範囲で、「ズヴィズダーの光をあまねく世界に!」が流行っていたので、ああ、こういう特殊な挨拶ゼリフや決めゼリフ的なの結構だいじなんだなって思った。『いなり、こんこん、恋いろは』の「いなり、こんこん」とかもそうだけど、作品中でギャグ的に作られたものでも繰り返しやってると馴染んでくるし、本作もたぶん、ライブイベントみたいなのあったらこの台詞で盛り上がったりするんだろうなぁ。他にも、『のんのんびより』の「にゃんぱすー」とか『ラブライブ!』の「にっこにっこにー!」とか。数え上げたらきりがないか。
  • 黒星先生はモバマスをやっていて杏が好きであるという情報を知っていると、ケイトはもうどう見ても杏ルーツにしか見えなくなる。
    • 『わんおふ』の前園利絵も『ハトプリ』の来海えりかだよねーと思ってる。
  • 吾郎と香織(ホワイトファルコン)の展開急すぎなんだけど……。さすがに?
  • 駒鳥ちゃんの耳が赤い設定、あれいるぅ? なんのキャラ付けになってたの?



ドキドキ! プリキュア 【Blu-ray】vol.4
 なんだか妙に好きだった作品である。一番好きと言えるかはわからないけれど、少なくとも、全話見るのが苦痛じゃなかった。最初に設定聞いた時は、「うわぁ、優等生プリキュアかよー。主人公は優等生じゃダメだろ〜」とか思ってたんだけど。でも関わった人が「俺もこの人みたいにがんばろう!」って前向きになってたりして、優等生には優等生なりの励まし方があるのだなというのに気付かされて、アリだなと思えた。
 それにしても本作は全員優等生だよなぁ。天然ぽいキャラもいたけど、ドジっ娘とかいなかったもんなぁ。全員ツンデレだった『スイプリ』といい、テーマ性を感じるが、実際のところテーマ何だったの? て言うと「やっぱり愛だよね!」的な話になるわけで、優等生がどうとかあんま関係ない。


 わがまま言っちゃうと、シリーズごとに主人公および仲間の性格、敵キャラの特徴や目的が違うのであれば、「その主人公たちでなければ解決できない」話or「その主人公たちならではの解決」になっていてほしいんだよね。でもプリキュアって基本全員愛の戦士だから、『スイプリ』メンツでも『ハートキャッチ』メンツでもキングジコチューは倒せそうだし、展開もそう変わらなさそう。
 で、自己中な奴に対して、他人のために頑張る生徒会長マナがいたんだろうけど、「なんで他人のために頑張るのか」「なんで他人のために頑張れるのか」「自分のことばかり考えているとどうなるのか」みたいなのをしっかり扱ってほしかったなぁ。


 そんなわけで他のいくつかの作品同様、本作も気に入ってたのはミクロ部分だったのかな。キャラは敵キャラも込みで見てて楽しかったし。
 あと、初期のプリキュアってそんなでもなかった印象なんだけど最近は怪物キャラや戦闘シーンもユニークになってる。『ドキプリ』はベールの携帯化&挟んでバイブ攻撃みたいなの面白かったし、近年は競技カルタだのクイズだの野球勝負だの見てて楽しいバトルがあって、なにかと同じことの繰り返しになりがちな番組後半の展開も飽きずに見ていられる。良いこと。それは良いことです。


  • これと『スイプリ』のキャラデザの高橋晃さんはすごく良いなぁ。デザインも良いけど作画も良い。「ふぇぇ、高橋作画ぁ……しゅきぃ」てなる。作画精度高過ぎんよ。
  • 批判的意見が多かったのではないかと思われる、折り返しからのレジーナ放置&エース登場展開だけど、『サガフロンティア2』の偽ギュスターヴ登場みたいで俺は好きだった。「おいおい、レジーナはどうなったんだよ。謎だらけのコイツは一体だれだよ……」ってのは偽ギュスターヴ登場にホント似てる。ああいう、謎を残したまま新たな謎があらわれ、「ますますわけがわからないよぉ!」ってなるも、それが後にたった一つの真実で紐解かれちゃう展開とか超ラブい。
  • [140630 追記]そういやレジーナの瞳の色が変わるのってあくまでアニメ的演出であって、実際には認識できないと思ってたから「瞳の色が違ってることに気づけよ」というツッコミはナンセンスだと思っていたのだけど、後になって「瞳の色が〜」とか言い出したのでびびった。何だそれ。

*1:言うて『キノ』はきつい話もあるけど