物語だけに起こる現象

 まったく言ってなかったが、この「創作」カテゴリでは、創作に関することのみならずアニメ・小説などの別なく物語全般に関しての雑談なども含める。ということを今さらながらに断っておく。このカテゴリ名だと俺が創作してないと違和感ありまくりだけど、そんな感じで。


 先日、ちょっと普段ではない面白い状況に身を置くことになって、まだ幼い女の子が『ドキドキプリキュア』を見る場面に遭遇した。きっと小学校にも入学していない年頃だろう。
 その時は第45話「宿命の対決!エースVSレジーナ!」(12/22放送)で、物語も終盤に入り、二人の人物にまつわる複雑な真実が明かされる回だった。本来女児向けアニメであるとは知っていても、観測範囲にある感想は大人のものばかりだし*1、この年頃の子がどんな風に見ているのかは気になるところだ。もっとも気になるのは「話が理解できているのか?」だが、そんなことを気にしていると放送終了後にその子のお父さんが女の子に話しかけた。
 ああ、これから教えてあげるのだな。と思っていたら、「どういう話だった?」と逆に尋ね、子どもに説明させるということをやっていて、「なるほど、こっちの方が良いな」と感心した。でもやっぱり女の子は、少なくとも、人に説明できるほどには理解していなくて、お父さんに教えてもらうような形になっていた。


 ……と、そういう微笑ましい光景を見てわずかに癒されたりしていたのだが、その回の内容を振り返って、たしかにこれは難しい話だよなぁ、なんて思った。
 何かと言うと、その回の話は、「別々の人間だと思われていたエースとレジーナが実は元々一人の人間で、その人間……トランプ王国の王女アンの心が善と悪に分裂した人格がそれぞれエースとレジーナだった」という話だったのだが、そういう、「一人の人間の人格が分裂して二人の人間になる」なんて話は現実世界にはない現象なのである。
 物語内では使い古されたものであって、『ドラゴンボール』ではナメック星人が善と悪に分かれ神様とピッコロ大魔王になったし、魔人ブウも善と悪に分裂した。たぶん、こういうのは、神話とか昔話にも多く見られるだろう*2
 だからそうしたお約束に慣れている大人からすれば「あーはいはい」なわけだが、よくよく考えれば現実には起こりえない現象なわけで、そうしたものに対して初めて触れた子どもがそれを理解するのはちょっと難しいのかもと思う。


 当たり前になっていたから気付かなかったが、改めて考えてみるとすごく不思議なことだ。もちろんそうしたことをやってのけるのは普通の、生身の人間ではなく、ナメック星人だったり、異世界の人間だったり、なんらかの魔法的な力が働いてのことだったりするから「まぁ、そういうもんか」と思えなくもないわけだけど、よくわからないテンプレだよなぁ、と。


 一体誰が考えたのか……最初に考えた人は凄い、と言えるかもしれないが、わりとどの国の神話にもありそうな話だし、「自分の中に善と悪の心がある」という二重人格的な概念を持ったところから「物理的に二つに分裂」というところまで考えが及ぶのは時間の問題である気もするので、案外誰でも考えることなのかもしれない。だからこそ、「なんとなく」納得できるのか。


 他にも、探してみればこういうのは色々ありそうだ。

*1:観測してないけど

*2:ヒンズー教の女神サラスヴァティーは創造神ブラフマーが自らの体からつくりだした、とか