2013年04〜06月期アニメ感想 1 『ちはやふる 2』/『はたらく魔王さま!』/『よんでますよ、アザゼルさん。Z』

 なんか、04〜06月期のアニメ感想を12月にアップするサイトがあるらしい……。
 各作品の感想は当時書いたり今書いたり。


ちはやふる2 Blu-ray BOX 上巻
 二期は二年に上がって新入生が入ってきてから夏の高校選手権まで。つーか誘われて行った合宿編? 続きがすげー気になる。
 あ、ちなみに、一期は途中からの視聴だったけど、これを機に一期も全部見ました。そのせいもあってか、一時期は待ち遠しくて仕方なかった。あと記事書くために二期を二十話分くらい再視聴してしまった。漫画も読んだんだけど、アニメを追い越したくないので17巻途中まで。しかし単行本9冊分で2クールだから三期までにはあと2〜3年待たなきゃならんのかなー。嫌だなー。


 一期感想では千早の容姿が可愛いとしか言ってなかったけど、万人向けの王道作品だなぁ(今さら)。
 「王道とベタは紙一重」と言われるように、キャラやストーリーテーリングに目立った新しさは感じない。だけどやっぱり面白い。本気で面白いと思ってからは毎週すごい作品だなーと思いながら見てた。
 あるべきところにおさまり、進んで欲しい方向に進んでくれるという、王道のA級作品特有の気持ち良さがある。勘所を抑えている。特に、小学生時代のエピソードは神だと感じていて、物語の始まり・中心軸となり何度も繰り返されるエピソードにふさわしい美しさがあった。
 それに加え地に足がついているというか、キャラやストーリーに作者の意思や都合を感じないってのが素晴らしい。技術だけで描いてない。こういうの描けるのは作者が本当に「わかってる」んだろうと思う。作者自身の人間的なレベルが高くないと描けないタイプの作品。


 少女マンガらしく恋愛要素も縦軸として据えられているのだけど、特徴的なのは、恋愛面で中心に置かれてるのが太一で、三角関係を構築している千早と新はいまいち何を考えてるかわからないキャラになっている。少女マンガなのに、男視点の恋愛が描かれているってのがちょい面白い。
 幼少期みるともう、千早と新って運命レベルの結びつきにしか思えなくて、太一は運命に挑む系の主人公にすら見える。
 それに加え、少女マンガなのに、付き合うところがスタートではなく、ゴールに設定されてそうなところも男が読んでて苦にならないポイントかなー。基本スポ根で、恋愛要素はサブ的な扱いだからってのもある。


 てゆーかハッキリ言って、「見たかった少年漫画がここにある」レベルの作品かもしれない*1。小手先のキャラ付けなどで勝負するのではなくこういう芯の通った感情や熱を感じられる作品は良いよなー。そういうわけで本作には敬意を払いたい。





「させるはず……ねぇんだよっ……!!」

  • キャラの横に「←だまってるよう言われた」とか書いてあって、漫画の描き文字がそのまま反映されてる演出。文字演出は好きじゃないけどこれくらいならアリかな。絵だけで見せるにも限界はあるし、そういう補足はほしい。
  • 桜沢先生はエロくて良いキャラですね。声(CV.林原めぐみ)もすごい良かった。
    • 声の話すると綾瀬千早(瀬戸麻沙美)、真島太一(宮野真守)も良い演技ですばら。特に太一は暗記暗唱シーン。
      • 千早の台詞でところどころ早口になるとこ、菅野美穂の演技に似てる気がしてならない(ex.「みんなで日本一になる方が絶対難しいっ!」)。
  • 富士崎戦で太一が相手主将に対して、「東京一位の代表が……北央が……楽な試合させるはずねぇ!」ってモノログるシーン。太一のバックに北央のちびっ子(甘糟)が映ってる画になってて、「なるほど、前の試合でエロムを疲れさせたのはキャプテンの甘糟だったんだなぁ。良い演出だなぁ」とか思ってたんだけど、漫画読むと、甘糟はキツネ目(市村)とやったことになってんだなぁ。それでもアニメ版の演出は良かったね。
  • 二年時の高校選手権個人戦の部、千早VSクィーン戦で、千早が大差で負けたのは指の怪我もあったからってことになってたはずなのに、その後クィーンも風邪だったことが判明するとかあんまフォローになってねぇ。



はたらく魔王さま! (2) (初回生産仕様:ドラマCD「悪魔と勇者と女子高生 -A happy new year-」同梱) [Blu-ray]
 良し悪しはさておき、この期のリアルタイムでは一番好きだった。


 本作の面白さは三つに大別されると思うのだけど、その中でも一番に面白く、評価したいのは、「働くことに対しての肯定感」を描いている点。これが気持ちよく、本作はそれを快感要素として面白さを担保している。
 コネや資格も立派な経歴もない中で、六畳一間のアパートを借りバイトのみの稼ぎで生計を立てるというおよそ最悪の、底辺と言えそうな状況にも関わらず希望を持ち前向きに明るく生きているというのが素晴らしく、あろうことか羨ましい生活にまで思えたし、自分も頑張らなきゃって気持ちにさせられた。そりゃ貧乏でもあんな風に隣人と助け合ったりしつつ和気藹々とやってたら楽しそうに見えるよなぁ。不便だからこそありうる生活に見えるというか。
 ただ、真に絶望的なスペックで前向きに頑張ってるのなら、本当に視聴者にとって励みになるだろうと思うんだけど、「若さ」もあるし、異世界という「保険」も持ち合わせているのでそこが惜しいと言えなくもない。「そりゃ若いうちはそれでいいだろうしいざとなればエンテ・イスラに帰ればいいんだろうけど……」って気もしてしまう。その代わり親も親戚もいないんだけどさ。
 二つ目に面白いのは、エミリアのキャラ。ツンデレドジっ娘、貧乳要素などを存分に発揮してなされるエミリアいじりが笑えて萌える。エミリアを中心に見てみると、善人化した魔王も、その魔王にまっすぐな好意を向けるちーちゃんも、このエミリアツンデレを引き出すのが意義のキャラに思えてくるほど。それくらい、エミリアがおいしいところを持っていく。いじられキャラは美味しいよなー。『ラブライブ』のにこが思い返される。
 三つ目は「ギャップ」。本作の場合、「日本人以上に日本人な外国人タイプ」で、異世界人のくせに適応力が高く、人間のバイトを押しのけて時間帯責任者にまでのし上がっているのが痛快だったりするわけだ。鉄板。


 ただ、「魔王がマクドナルドで楽しく働いている」という面白さは、一見、正社員になったり店長になったりと発展性がありそうに見えながら、実は一発ネタ的なもので縦軸的な発展性がないように感じる。
 というのも、前述したように、あくまでも「バイト」で「貧乏生活」してることが本作の面白さ・気持ち良さであるから。七夕イベントなどで店のピンチを救い褒められることはあっても、これ以上に出世するような展開は難しそうだ。
 そして、これは多くのハーレム系作品が抱える問題だが……エミリアを始めとしたヒロインとの関係性も、嫌だ嫌だとツンツンしながらたまにデレたり、他のヒロインと牽制しあったり、誰かと付き合うところまでいかないところが面白いところなので関係を進展させにくい。したがってこれまた発展させるのが難しい。
 また、「ギャップ」での笑いも、基本一過性の笑いであり、一度魔王たちが人間社会に適応してしまえば二度目は使えないという弱点がある。拙い日本語でアパートを借りたシーンが良い例だが、基本一発ギャグ寄りであり、これも先がない。


 もちろん、サクセスストーリー的な面白さに踏み込む展開もありかもしれないし、恋愛模様にも変化があるかもしれないけど、設定で「掴み」に成功した後の中盤〜終盤は目新しさがなく、若干苦しそうに見えた。実際「失速した」という意見もちらほら見られていたと思う。
 一度倒した敵がまた出てきたり、魔王の改心を疑うキャラが再び出てきたりと同じことを繰り返しているように見えたのが理由かな。


 つまり、設定による掴みはめちゃくちゃ良いものの、同じように魅力的な縦軸までは用意できていない&しにくい作品で、今後その課題をどうクリアしていくのかがポイントと言える。異世界に活路を見出せそうな感はあるのだけど、自分としてはマクロの、世界的・政治的規模の話にはなってほしくなくて、なんとか人間界の、日常生活の側に活路を見出してもらいたいところ。エンテ・イスラ政界を牛耳っている人間のクズどもを相手に争う展開とか求めてないんだよなぁ。
 これまた魔王とちーちゃんの換骨奪胎ではあるものの、芦屋がエミリアの友人(梨香)に惚れられる展開とかちょっと良いと思ったし。


 あと一つ言っとくと、本作の「魔の者が人の恐怖の感情で魔力を得る」って設定はすごいハマってたね。魔族が持つ特徴として高い納得感がある上、ドラゴンボールの悟空みたいな「遅れてくるヒーロー」としての必然性も備えていて、みんながピンチの時にしか力を発揮できないようになっているものだから、これ以上なくヒーローにふさわしい設定になっている。



  • エミリア(CV.日笠陽子)の演技すげぇ良かったなー。頭から地面に落ちて「ぐぅが!」>「はぁ〜はぁ〜……!」とか、ドアの向こうで「例のアレだすわよ? いーの!? 大変なことになるわよ!?」とか面白い。言い方が良いんだよなぁ。良い意味で生(アニメ的でない)っぽい。
    • 逆にちーちゃん(CV.東山奈央)は、魔王の手作り弁当を見た時やトカゲ料理の話を聞く時のトーンが、くどいというか、わざとらしすぎる気がしてちょっと微妙だった。
  • 本作のヒロイン勢での人気は多分ちーちゃんが一番だったのだろうけど、こういう、正ヒロインに対するかませ的な普通子が普通に可愛いというのはいいね。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の由比ヶ浜結衣も同じだけど。声も同じだけど。
  • ちょっとだけ原作みて驚いたのは、アニメですげー面白いと思った導入部(カツドゥーン〜オレタチ、家が探してられマァス!)あたりが原作では書かれてないorあっさりしすぎてたってとこ。原作はアニメ以上に導入をさっさと済ませようとする意識が高かったらしく、本題に入るとこまでが本当にあっさりなんだよなぁ。本作とか『俺妹』とかの売れ線ラノベ読んでみたら、「これがラノベ! 俺が今まで読んだ気になってたのはラノベじゃなかった!」て思った。この点に関しては原作を再編成して更に良くするというアニメの良さが出てたと思う。原作であっさり書いてるとこでもアニメみたいにやればすごく面白い部分として「掴み」にできるんだから、導入部をあっさり済ませるのがベストとは思わないんだけどなー。「面白くない部分を面白く見せる工夫」をしてる方が好き。
  • 再三言うけど、不動産のシーン笑った。言葉が通じて興奮する西洋系外国人風のノリが。
  • このDVDのイラストのデザインは秀逸。マックの制服にマント羽織ってる魔王と、OLの制服にイヤホンマイクつけた格好で剣握ってる勇者って画が本作の内容を見た目で表現できてるし、そのアンバランスさが見ててちょっと楽しい。



『よんでますよ、アザゼルさん。Z』Blu-ray VOL.2
 二期にもなっていまさらですけどこの作品って、ちょっと下品でちょっとエロくてっていう、わりと青年誌では珍しくない……むしろ王道的な作風の作品ですよね。べつにぜんぜん新しくない。それでも十分ぶっとんでるし、面白いんだけど。
 第02話「牛は見た!」はすげー笑ったし、第11話「あっちゃんの現実」(ギャラが牛脂)は笑うしかなかったしなー。


 あとはさくちゃんが可愛いですよね。下衆い部分もあるんで嫌いな人もいるみたいだけど。
 でもさくちゃんは、合コン時の服がオーバーオールぽいやつだったりして……とにかくいつもスカートを履いてない印象なんだけど、胸もあるわけではないし、色気が無いキャラなのでその辺り残念なんだよなー。性的なイタズラされそうになっても「くすぐったい」とか言って笑ってる。エロビデオ見てた時は頬染めてたんでちょっと可愛かったりしたけど……。
 それに真面目かと思いきやけっこう学校さぼってるようだし……。
 なにが言いたいかというと、そんな具合に可愛かったり良い子だったり下衆だったり、エロくなかったりエロかったり、振れ幅が大きい結構複雑なキャラだなーってことだ。だから何? って感じだけど。でもこの作品のキャラは全員二面性があるよね。
 そういうところが本作の面白さの一つなのかもしれない。


 あ、この感想あきらかに……雑だな。



  • なんかに、アザゼルさんは姿が変わっても性格が一緒だから違和感ないみたいな話したけど、そうでもなかったね。やっぱ姿ちっさい方がマスコットしてるわー。
  • にしても本作のキャラ、神も天使も悪魔も人間もろくな奴いなさすぎだろ。俺の中で一番まともなのベルゼブブさんなんだけど。

*1:弱虫ペダル』でも同じこと言ったけど事実なんで