ジャンプ雑記

 約一年ぶりとかになってるー!
 すげー昔に書いた感想もある。

『パッキー』

 マジでつまらない作品ばっかで本気で購入中止を検討するレベルだった12年3〜4月のジャンプの中で本作にはわりと救われてた感もあったのだけど終わってしまうとは……。
 『イカ娘』と同様のリトマス構造を持ったギャグ漫画で、異世界の住人であるパッキーがこの世界のものに対してどういう反応示すかってのが見所であり面白い作品だった。パッキーが戦隊もののテレビ見たときのリアクション溜めの部分にそれが顕著に現れてる。
 ……なのだけど萌えらしい要素がなかったせいかなー。多分これ、ほとんど誰も見てなかっただろ。俺も最初は読んでなかった。この手の作品って脇役に一人くらい可愛い女の子を配置しておいた方がいいよね。萌えのみの作品はアレだけど、萌え要素自体は大事だと思う。

読切『クロス・マネジ』

 12年21・22合併号に乗っていた読切作品。その前にネクストでも載ってたらしい。
 惰性で読める連載作品とは違い読切を読むのはエネルギーが要るので敬遠しがちになってしまうけど本作は絵が上手かったので見てみた。すごい良かった。
 話としては「無気力系クール男子がスポーツを通して打ち込めるものがある熱い青春に目覚める(※ただしマネージャーとして)」って感じのよくあるタイプの作品。でも物語ってテーマや構造は一緒でもアプローチの仕方で前々違う作品になるじゃないですか。本作は「楽」ってとこからアプローチしてる。何かをするにあたり「結果(勝利)」と「過程(皆と楽しくやる)」の対立があるとして、「勝てなきゃやっても意味ない」に対する「楽しい気持ちは無駄にならないよ」ってセリフは金言だったかなと思います。
 そして連載へ……。

連載『クロス・マネジ』

 主人公が元運動部員に変更して連載。テーマも変わりはしてないものの、対立がより強くなった感があり『てんむす』と同種。「勝負の世界に足突っ込んで本気でやるか、楽しくやるか」みたいな。
 これも『てんむす』と同じ轍を踏んでるよなー。テーマ重視しすぎてエンタメ要素を殺してる。結果として見たいものが見せてもらえてない状態。読切の時は、連載視野に入れて作られているっぽいキャラたちが魅力的に映っていたのでそういうの見せてほしいってのもあった。双子とかガングロギャルとかお色気とか。
 あと、似たツッコミになるけど、テーマばかりを急いで書くんじゃなく箸休め回とか入れながらやってた方が良かったと思うんだよな。本作は急いでイベントこなしてる感が強い。それも主人公周りのイベントばっか。もっとチームのこととかライバル校とかそんなん描いて欲しかった。


 ※現在何週分か溜まってしまってる。後で読む。

食戟のソーマ

  • 食に関する著者の熱い魂が感じられない。味をエロで表現するのは『華麗なる食卓』も同じと言われているが、あっちの著者はすげーカレー好きだろ。エロはマジでない。舐めてんのか。「人が美味しいものを食べた時どうなるか」真剣に考えて描いていた『鉄鍋のジャン!』を見習え。
  • そんなこんなで一話時点での印象最悪。
  • 絵が『恋染紅葉』とくそ似てると思ったらアシやってたらしい。コマの周りの縁消し処理とか見るにどうもデジタルっぽい。上手いけど限りなく絵に個性がない。でも上手い。
  • マガジンやサンデーの漫画っぽいと思った人多数だろうが確かに異色。センターカラーに写真が使われているあたりが象徴的。つか絵の個性が薄いからジャンプっぽくないというのもありそう。
  • 主人公の魅力や好感度はどこにあるんだろう。人助けとかしろ。丼勝負で部長を助ける展開は良いかも。
  • おさげの娘とちゃんと仲良くなるイベントがあるべきじゃね?
  • 寮での飲酒宴会描写。「※あくまでもジュースで騒いでます」って、こういう「※この作品に登場する女の子は全員18歳以上です」みたいな、批判を黙らせようとするだけのエクスキューズは感心しないなー。アダルトゲーは仕方ない気もするけど、ここはある程度納得できそうなラインを模索しろよ。しかもその様子を寮長が盗聴してるし。これだったら(やり方は考えるべきとしても)堂々と飲酒した方がいい。
  • これまでの料理は美味しそうだった。煮凝りふりかけいいな。
  • 何人もの人間が集まって知恵出し合って分担してやれば面白い作品ができるってわけではないんだよな。むしろどこかが荒々しくても作者の個性が色濃く出ているのが良いし、そういうのが多いのがジャンプという雑誌の良さではなかったのかと思うんで、そういう意味でも歓迎したくない。
  • 本作の評価には多分に好き嫌いが入っているのが否めない。

新米婦警キルコさん

 連載開始号の月曜夜には同人誌を作られはじめているキルコさん。早売りをゲットしたとしても早過ぎる反応速度に同人界の恐ろしさを知る。pixiv百科の該当ページから見れるタグ登録数の、11月19日(連載開始日)からの推移が界王券使った悟空の戦闘力みたいな跳ね上がり方してて恐い。タイミングが絶妙だったということもあるのだろうが(冬コミに間に合う)、たった一つの新連載が多くの同人描き達の当初の予定を変えさせサークルカット詐欺を引き起こしまくっているというのがまた恐い。たしかにキルコは一発でどういうキャラか完全に掴めてしまうし、可愛いんだけどさ。いやいやいや? さすがに何割かは流行りに乗っかろうとしてるだけ……だよな?
 作品の骨はキルコさんが可愛いこと。キルコさんが可愛ければOK、可愛いは正義。シンプルイズベスト。作者もそれを完全に自覚しているであろうあたりに心強さを感じる。
 さすがに「それだけで大丈夫か?」という不安はあるけど、肝心要の見せ所を失くしてしまっている作品よりマシと思われる。しばらくは「キルコ、大都会に行くの巻」とか、「キルコ、裏の裏の目が出て逆に大金星の巻」とか、いろんなパターンでコメディしてればいい。


 ※あかん、現在読まなくなりつつある。一年くらい持ちそうだなという予想に反し早くも失速してる感あるな。

NARUTO

 ナルトとヒナタが手を繋いで……回。
 構造的には脇役ヒロインが正妻戦争に勝ったみたいで美しくない気もするけど、キャラ的には不自然さがなく収まりが良い。
 もちろん、サクラはヒロインとしては一番強く見えたってだけだからナルトとくっつくのは不自然極まりないことだけど、あらためて考えてみるとヒロインとしてのサクラっていったい何の意味があったんだろうね。
 だって最初はサスケの顔とか実力とか、外面的な部分に惚れてたわけで、そっからなんかシリアスな感じ出してたとはいえ、「元仲間」以上のものはないわけでしょ。サクラにとってサスケが特別な存在であるとは思えない。
 あと、ナルトが容姿だけでサクラに惚れてたのはいいけど、ロック・リーの方は容姿惚れではダメな気がする……なんか理由あったっけ?
 つかサクラ自体がどこに魅力があるのか……って話は今さらか。
 すげー話逸れるけど『true tears』のあいちゃんもあれ何だったんだろうね。存在意義。


 作品としては、最近の展開は評価されてるっぽいんだけど、俺はこれまでの負のイメージが強すぎてもうまともに評価できない。俺の目ではもう主人公に魅力的に見えないし、まったく面白くない。でもそういう補正がなくても「うお!面白ぇ!」というレベルではないとは思う。それと、総括的な批評は最終回を迎えるまで避けたいと思ってるけど、この人、キャラ殺せば面白くなると思ってないか?
 あと、『ワンピース』の当て馬的に褒められてる気もする(『ワンピ』より『NARUTO』の方が〜)。


 あーでも今週の「火影一同に会するの巻」は面白かった気がする。うちは一族の瞳の秘密が明かされたとこ。
 いや、やっぱこの作品は最終回終わってからまた言及すればいいかな。あと何年くらいかかるかわかんないけど。

読切『氷上布武大石浩二

 ラストすごい良かった。感動した。これ何が良いんだろうなー。セリフと絵があいまっての感動だと思うんだけど、妙に感動した。「そんな感動するようなセリフか?」と思うんだけど。なんか見る目があったかいというか、肯定してんだよね。最初は「スケート選手として認めない」とか言ってたのに。でもべつに徳川くんに認められたから感動ってのも違う気がするし。なんでだろ。
 こういう、ギャグ漫画のふりして最後に謎の感動にもっていく話作りってやりたい人たぶん多くて、『銀魂』なんかもそれがやりたいんだろうけど、できてないんだよな(あっちはシリアスのふりしてるとこから落としてギャグに持ってくって方が本領になってると思う)。
 大石先生すごい成長したんだなってのがわかる一作だった。伊達に連載二回やって、他紙含め何度も読切書いてない。
 ジャンプは10ヶ月に一度くらいはこの手の高レベル読切が出てくる印象。遡っていくと、KAITO『クロス・マネジ』、横田卓馬競技ダンス部へようこそ』、鳥山明『KINTOKI』って感じで。

黒子のバスケ

 青vs黄の時くらいから思ってたけど、かなり『スラムダンク』が意識されてるね。モノローグ入れてくるあたりとかそれっぽい。
 なんか最初の設定とか緑間くん登場とかの頃からは想像できないシリアスさで、どのくらい真面目にやりたいのかいまひとつ読めないけど、結局こういう感じに落ち着くっぽい。
 最初は『テニスの王子様』や『咲-saki-』的な能力スポーツ漫画の系譜だと思っていたし、それは間違いではないんだろうけど、本作はそれを『スラムダンク』的な真面目系スポーツものの中に落とし込んでいて、それはある意味これまでの作品がやろうとしてできなかったことに成功してると言えるのかもしれない。これまではなんだかんだでギャグになっちゃってたわけだし。


 メチャクチャ面白いってわけではないんだけどたまに面白い時がある気がする。

HUNGRY JOKER

 なかなか見る気にならなくてすごい溜まってるけど絵上手い。みんな絵が上手いので目立ってない気するけど新人なのに凄い。あと女の子がすごい可愛い。ロリコンではないけど可愛い。でもたぶん打ち切られるんだろうなー。
 内容に関しては本当に読んでないから何も言えない。後で読む。

SKET DANCE

 いま一番ジャンプですごい作家だと思うんだけどどうなんでしょうね。単話型の作品で週刊連載というのが凄まじいし、絵の上手さ及び丁寧さも悪くない。
 話の質も低くないし、マクロ的にも時間経過させて綺麗に纏めようとしてるから凄いなーと思いました。佳作作品だけどそれは作品の器自体がジャンプで一位とるようなものではないからであって、作品の器に合った質を維持しているというのはそれが佳作であってもプラス評価だ。

『トリコ』

 さすがに初期の面白さ、ワクワク感はないけど、天狗のブランチが小松の才能を見付けて仲良くなる回は「!」と来た。単なる小松上げが面白いってだけじゃなかったと思うけど……どうだろ。
 でも、さすがにそのごくごくありふれた食材で何を作ったのかってのは見せるべきだと思った。先を焦るような作品じゃないだろう。

『ハイキュー』

 絵の力で「!」ってなるのが多い。構図かな?
 と同時に、絵が荒い作品だなーとも思う。下手じゃなくて、荒い。なんか安心する荒さだよね(ワンピなんかも同様に荒いと思う)。週刊で描いてるんだからそりゃこのくらいの荒さにもなるだろうっていう。これ以上のクオリティで描いてる方が凄い。

暗殺教室

 世間の評価に比べるとべつに……という感じ。前作『ネウロ』の方がショッキングなシーンもあり、突き抜けてる感はあった。けどあれは単なる悪趣味や露悪的なものの産物って部分も大きくて、悪く言うと素人のバックアタック・奇襲・搦め手っぽさがあった。邪道。それに比べると今回は良くも悪くもマイルドさが出ていてプロらしい良識のある作品になってるとは思う。王道寄り。
 でもやっぱ、設定の奇抜さはあっても面白いと思える要素はないと思うんだよな。だからむしろ良くないと思う。
 「E組生徒たちの成長+結束の物語」とか、「殺センセーの魅力」とか、ビッチ先生みたいな異端な先生脇に置いて「世間一般とはズレた人生だけど充実していて楽しい感」とかが描かれていて、どれもそこそこ上手く描けてるようには思うのだけど、いずれも妙にガツンとこない。「可」ではあるけど「良」ではないという佳作的な出来に留まっているように感じられる。
 予定調和的だったり、解決が早かったりするところが原因かな? と思ったんだけど、こういう王道作品を描くには松井先生自身のレベルがまだ足りてないってのが一番の理由であるような気がする。やはり前回ほど悪趣味でないにしても、やや邪道よりの作風の方が向いてるのではないか。
 それでも具体的な原因を求めるならやはり、殺センセーが明確に善人すぎていまいちダークヒーローっぽくないことと(そもそもダークヒーローか? という気もするけど)、理事長のやり方が理念とずれていて同意しづらい(悪役になりすぎてる)ところかな。E組にだけテスト範囲を教えないとか、一度落ちると上がってきにくいとかってのはちょっと違いますよねっていう。


 まだ○○編、「完」と言えそうな区切りにまでも行ってないし、今後全校生徒+理事長を見返したりやり込めたりする大きなカタルシスがあることは予想されるから(これはさすがに最終回か?)何とも言いづらい部分はあるけど、盛り上がる予定があるのならさっさと消化した方がいいと思う。ひとまず殺センセーの過去が暴かれるあたりが一区切りなのかな。
 あ、そうだ。本作に関しての評価は『バクマン。』に近い。「面白い」っていう人がいて「人気作! 話題作!」ってなるのもわからんではないけど実際にそれほど面白い気はしない。