2012年10〜12月期アニメ感想 3

ほとんど書いてたんだけどすげー遅くなった。おまけにちょっと適当になっちゃってる。
2クールものもあるけど、1クール終了時の感想です。
この期の感想「4」はあるかもしれないし、ないかもしれない(あっても二作くらいか)。


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 人として成長し、神としての力をつけつつ数々の神々&妖たちに一目おかれ、人脈ゼロ・家なき子状態から一転、人の輪を広げ徳を積み豊かになっていくような話だったらいいのになーと思ってたんだけど、あまり意思を持ってその方向を目指しているとは感じられなかった。おまけに第7話「神様、デートに誘う」みたいな話は時期尚早に感じたし、いまひとつ乗り切れなかったので「うぅん……」と思ってた。


 のだけど、その後は瑞希と契約したり、神としての力を発揮し乙比古にも一目置かせたり、最終話ではそれまで関わった人達(沼皇女・龍王とか)も再登場してくれたりしたのでそれなりに望んでた方向へは行ってくれたなぁ。今後は鞍馬との契約も予感させるし、どうせそういう方向へ行きはするのだろうけど、そうした縦軸を意識的に用意し、明確に打ち出してくれたらより先の展開にワクワクできる作品になるのではないかと思う。


 なんにせよ全員が良い奴らだし、重い展開にもならないしで安心して見れるいいエンタメアニメって感じかな。序盤はクラスでの居場所のなさがちょっとかわいそうだったけど、友達もできてそこもフォローされたし。


  • 鞍馬の期待値の高さやべぇな。基本は歌付きBGMで登場して決して上手くはない歌で端役・モブどもを魅了して去っていく感じなんだけどもう出てきただけ笑ってしまう。第10話「巴衛、神使になる/神様、合コンにいく」のEDは良いノリだったなぁ。『妖狐×僕SS』のSM回ほどではないだろうけど、匹敵するくらいの爆発力ではあった。
  • 奈々生の容姿C判定は納得いかん。設定的には可愛くないのかもしれんけどそう見えないし。可愛いんだったら作中人物にもそれなりに可愛い娘扱いしてもらいたいんだよね。だから「お祭り来てね」って話しかけられた男の子が顔赤くするシーンはすごい良かった。
  • 言霊能力は柔軟性があって面白い。力としては万能すぎるし、『小太郎』と貼った木を押して小太郎の背中が押されるといった拡大解釈は気になるけど、使い道に幅があるのと、『追い風MAX』『空気』など書き手の個性やユニークさが出るのは良い。
  • 第11話「神使、街にでかける」の大女優がちょい残念な格だった反面、卵の上京っ娘はやたらいいキャラだったな。奈々生と同種ではあるけど端役なのに主役級の人格持ってたよね。それに全員同じ声のイメージが強かったけどこれは釘宮理恵すごいなと思える。
  • 最終話。シリアスにもかからず妙にテンポいいギャグなんか挟まれて……瑞希の笛シーンとか良い間だったな。ギャグが優秀な作品だった。


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 設定としてはさほど目新しさを感じない近未来SF。この世界ではシビュラシステムという人間管理システムが一般化している。
 もちろん作品を見ればこのシステムの成否(正否)は一目瞭然。潜在犯である狡噛さんは監視官以上の人格者に見えるし、各々の犯罪者も犯罪を犯す以前に捕まることがない(「色相」は街中で簡易スキャンされているらしいが)。脅えているだけの被害者の犯罪係数は上がるし、色相を濁らせないために他人をいじめるのは「アリ」とされているし、ハッキリ言って疑問だらけだ。
 だから最初は「将来的に犯罪を起こす確率が高いとしても、犯罪を起こしていない段階で捕まえていいのか」みたいなテーマかと思ったが、違った。このシステムを通して訴えたい本作のテーマは槙島のセリフ、「人は自らの意思に基づいて行動した時のみ価値を持つ」が言い表している通りなのだろう(『まどマギ』と近い?)。つーか填島さん全部言っちゃったよ!


 填島が「ここで撃たれて死んでもいい」という態度だったのは朱が撃てないと踏んでのうそぶきではなく、本気だ。填島にとっては「自分の意思で決定したことに従って生きることこそが最重要であり結果は(それよりは)大切じゃない」。目的を達成できず死ぬのは最も避けなければならないことではないし、填島にとっては「シビュラシステムに頼らない完全な人の意思(殺意)」を確認できるのだから「それはそれで尊い結末」なわけだ。
 シビュラシステムはまったくの逆で、「意思はなくとも結果良ければすべて良し」というものである。そして常守朱が本物の銃を拾ってなおドミネーターを手放さず、本物の銃を捨ててなおドミネーターを手放さなかったのはシビュラシステムに頼り切り自らの意思で行動できない人間だったことを象徴している。
 というわけで本作は「誰かの作った価値観を基準に行動し、自分で考え行動できない人々のあり方」が問題にされた作品である。


 面白いのは、よくある「人間の可能性や美しさ」を尊重しているのが填島(悪役)側であるという点だ。「便利さを追求しシステムに頼り過ぎるあまり人として大事なものを失っていた者の敗北」というのはこれまでだと悪役の負け方だったのではないか。「相手を殺すのはドミネーターじゃなくこの俺だ」と肝に命じておきたい狡噛さんも填島と対立する存在ではないので、立場としては対立はしながらも主張は対立させず進んでいきそうだが、あと1クールも残っているのでどうなるのか興味深い。


 というわけで、最初は1〜2話完結の事件を積み重ねてるだけに見えたけど、振り返ってみれば冒頭からシステムの不備を描き続け、徐々に黒幕を出していき、テーマを補強する狡噛さんの訓練とそれについての考え方、「人類皆サイボーグ論」から前半ラストへ……と、無駄なく美しい作りだった。



  • 常守朱が可愛くないとか言ってる人……若いな(遠い目で)。人間って若い時ほど正統派しか受け付けられないものだよね。
  • 最初は執行官がやたら手に負えない獣のように言われてたように思うんだけど、ぜんぜん言うこと聞かないような存在じゃなくむしろ監視官以上の冷静さや判断力を備えていてほとんど対立もなんもなかったな。

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 爽やか青春ものかと思いきや暗そうな過去の事件が複数件あったり、なにやら企んでるっぽいアキちゃんの姉なりがいてそうでもない。お姉ちゃんの会社の名前なんでしたっけ? 「ネルフ」だっけ?
 原作はそんなに面白くなかったと耳にしたけど、本作のミステリ的な雰囲気は今のところ楽しめているし、君島レポート取得に課せられたフラグとかも面白い。原作だとあれらの行為の一つ一つ(石を積み上げるとか)にはなんか意味があるのかなー。ないんだろうけどあったらいいな。


 なんかまだよく話が見えてこないよね。ロボ部的にはロボット作るのが目的なんだけど、視聴者的には世界の謎とか、いま世界で起きていることの方が重大な縦軸になってる。うーん、本当にまだなんとも言えないんだけど、フラウが追ってるアニメーター殺人事件と君島レポートの先が気になるかな。姉のいるネルフはちょっとうざい。こういう思わせぶりなこと言うだけの引っ張られ方はちょっとネルフ的うざさがあるよなぁ。中心にいる人たちだろうから仕方ないんだろうけど。
 やっぱあんま話進んでなくてまだなんとも言えないな。ロボ製作と世界の危機の話が並列で進んでるから進行が遅くなるんだろうけど、そのうち繋がるんですかね。


 あれ、意外と言うことないぞ。


  • フラウ可愛いな。喋り方が聞いてて楽しい。良いキャラだ。
  • 仲間になりたそうな目で見てたアキちゃんのくだりも良い。
  • 現時点では空手ちゃんが「……この娘いる?」って感じだ。キャラも立ってないし、居場所がなさそうだ。
  • ジオタグっていうか、セカイカメラがすごい面白いなー。現実の隠し要素というか、違う世界がもう一つあるみたいでワクワクする。ドラクエで夜になったら昼と違う部分があるみたいな感じで、普段と違うものが見れたりするわけでしょ。いいなー。


ガールズ&パンツァー 3 (初回限定版) [Blu-ray]
 最近の作品はテンポ早いけど代わりに一つ一つの描写がおざなりというかあらすじ説明的になっていて「間」もないから感情移入が阻害され気味だよねーとか思ってたけど本作はさらにリズムを上げてきやがった。マジ早ぇ。でもそれが必ずしも悪くない。トントン進むのは悪くない。
 というわけで、本作の魅力はキャラ・テンポ、そして暗くなり過ぎないストーリーかなー。
 キャラはなんと言ってもみんな良い奴ってのが良かったな。最初こそ生徒会がムカつく奴らに見えたんだけど、だからこそ沙織&華の良い奴ら具合が引き立ったし、友達いなかった秋山ちゃんにも優しいし、沙織の恋愛経験ゼロが発覚しても一年生は軽蔑しないし、相手校の人たちも基本良い人。そういう互いに対する思いやりがそこかしこに感じられて心地よいんだよな。


 気になったのはvsプラウダ(ロシア)戦で、皆の声に押されて作戦を変更したシーン。あれ何だったんだろうなーマジで。あれだと全員の軽率さというよりはそれを許したみほの落ち度になる気がするんだけどどういうふうに見せたかったんだろう。あとは大したドラマもなくポッと出の新メンバーが加入したりして(特にアリクイさんチーム)、本道のストーリーが王道で単純な反面、細かいところが気になったりもした。
 「戦車もの」という異色な要素を取り入れてる分、多少おかしな設定や話運びになる(やたらキャラが多くなってしまうとか)のはわかる気がするんだけど、そこに甘えてる感があるのかな。逆に言うと拙い部分やおかしな部分を「戦車」を隠れ蓑にして上手いこと誤魔化してる風でもある。
 その上、戦車の知識や裏のキャラ設定などをどれだけ知っているかで面白さが変わってきそうな作品なのでなんだか評価しにくい作品だよな。その点は『K』と似てるかもしれない。作品としてずっと連想してたのは『ストライクウィッチーズ』なんだけど。


 とは言え、見ていて楽しいアニメだからプラス評価なんだけど。っていうかこの期一番楽しみにしてた作品だったし。
 できれば最後はより一層の盛り上がりを見せてもらいたい。



  • 無理やりやらされるも姉に劣っていて、それそのものも嫌いだったけど、環境が代わり新しい仲間ができたことで前向きになることができ、姉を越えるために頑張るって設定、『咲 -saki-』に酷似してる。
  • 公式のキャラページにキャラ紹介サウンドドラマってのがあるけど前なかったよな。追加されたんか。本編では描かれない男を目の前にした(してないけど)沙織の様子が描かれてたりして面白可愛い。声が高くなってたり息が弾んでたりして可愛いんだけどこの可愛さを本編で出そうとしたら畢竟、男キャラも出さないといけないんだよな。痛し痒しって感じか。
  • 戦車塗ったり旗立てたりとやっちゃいけないようなことやっちゃうノリは嫌いじゃない。むしろ美少女ものと掛け合わせたのならそういう邪道な部分はあってほしい。それでいてその愚行がなにかの拍子に転じて思わぬ結果に繋がったりするってのが(こういった設定だと)見たい部分。だから、うまく運転できず間違ってバックしちゃう⇒意図せずフラッグ車を庇うという結果になってたのとかは好きだ。