2012年01〜03月期アニメ感想 3

 下書きのまま放置されてる記事の整理をしようと思った。というわけで今さら。

妖狐×僕SS 3【完全生産限定版】 [Blu-ray]
 全部見れてないけど無責任に書く。


 作品の半分くらいを占めているシリアスに乗り切れなくて辛い。
 まず「親から拒絶されてる設定」に説得力がない。よくある鼻から下のカット(目が描かれず口だけが動くカメラ位置)で描かれてたけど、作者は親の顔とか性格とか絶対考えてないよね。適当。親だから無条件に我が子が可愛いとは限らないし実際にはクズ親なんてたくさんいるだろうけど、一般的には子は可愛いんだし現実とこの作品世界は別物なんだから「こんな親いねぇよ」って思っちゃう。だから何かしら説得力のある理屈の一つ二つ付けてほしい。とりあえずこの作品において主人公のハッピーエンドは和解エンドではないんだなってことはよくわかったけど。
 たとえば、『フルーツバスケット』において呪われた子を生んだ親は「自分の子じゃないかのように避け過剰に嫌うか、過保護に可愛がるようになるかのどちらか」って説明があったけど、こんなふうに色んなケースがあるって情報を提示するだけでも説得力って増すじゃん。嫌味を言ってくるクラスメイトとかも陳腐すぎてストレス溜まった。つまり、この作品世界は勧善懲悪で、ハッキリ悪い奴・嫌な奴と良い奴・優しい奴しかいない。そこが安っぽいし、脚本の都合でキャラが動かされてる気持ち悪さがある。
 それにこれだと主人公ちゃんの話は「今まで出会ってきた奴らが悪い奴だったから不幸だったけど、今になってやっと良い奴ら&白馬の王子様に出会えたから解決しましためでたしめでたし」にしかならないじゃん。良い奴に会ったのは変わるきっかけ程度で、そこから自分自身が成長して、今まで嫌な奴だと思ってた奴らと和解するなり強がりじゃなく戦えるようになるなりすべきではないのか。その点『夏目』はちょいちょい、過去に上手くいかなかった人や妖怪たちと折り合いをつけるようなエピソードがあって、夏目の成長がわかるように描かれてるんだけどな。
 でもやっぱ最後まで見ないで言うのはよろしくない。


 あと文字演出でさらに強調するようなことされても白けるだけで逆効果だと思う。薄っぺらい。ていうか、アニメが文字に頼んなよ。アニメはアニメの良さを出してくれよ。「大事なことなのでテロップ出しました」って文字で出されたからって感動が増すわけじゃないんだし。


 コメディ部分はいいんではないでしょうか。犬のテーマ曲(?)は鉄板だし、二人のやり取りが魅力であり目玉の作品だろうし実際悪くない。作者も楽しんでるのが伝わってくるから延々やってればいいと思う。あと、一生SかMか仕分けてればいいと思う。

プリティーリズム・オーロラドリーム Rhythm2 [DVD]
 面白いと聞いていたので二三回つまんでみたけどその時はよくわからず、突然3Dモデルに切り替わって踊りだすあたりを笑えばいいのかなーとか思ってた。最後の方になってもう一度見始めたところで本当に面白い作品だと気づけたって感じなんで全部は見てない。すげー悔やまれる。


 幻の大技である「オーロラライジング」へ向けて話が進んでいて、『カレイドスター』と『ガラスの仮面』の混合物みたいな印象。月影先生もいたし。
 『ガラスの仮面』は「紅天女」が「人の心を残していてはいけない」みたく言われてるんだけど、でもあっちは「精霊になり切れ」という意味であり、愛情その他一切の感情を捨てろなんて風には言われてないとこで本作とは異なる。本作のは本当に一切の感情を捨てて人であることをやめろって言ってる。
 そんなわけで完全に修羅道に堕ちた「殺意の波動に目覚めたりずむちゃん」みたいな隠しキャラが登場してしまうこともあったわけだが、当然これは「間違った道」だということにされる。で、「やっぱり人の心は捨てちゃいけない。むしろ感情があるからこそオーロラライジングは飛べるんだ」ということになり、その落としどころは大方の予想通りだったと思われるが、本作はその落とし方が秀逸だったというか、りずむちゃんが真のオーロラライジングを成功させたシーンが感動的すぎて泣きそうになる。
 『時をかける少女(アニメ映画)』でもそうだが、俺はあの、フラッシュバック回想演出に弱い。りずむちゃんの台詞もクオリティ高くてくる。「このオーロラの輝きはママへの想い! 全部見てもらいたい! 全部伝えたい! 私とパパが過ごしてきた日々を! 素敵な仲間との出会いを!」。泣きそう。多くの人にとってはその後のシーン「普通よりもっと素敵な家族になれるんだよ!」が目玉だったのだろうが、俺はここだけを何度も見直した。オーロラライジングの入りと終わりが静か(ドラムがない)なのも荘厳さ出てて良いしなー。単純なんだけど曲が良い。もちろん目玉のシーンでも、クリスの過去回想でもグッとくる。49話は神回だった。


 とか思ってたら次のあいらちゃんの回も負けてない。ここではオーロラライジング中に小さな女の子たちのカットが次々入りつつアップになるシーンが特にきた。カメラの動きが良い。途中から見始めたせいであいらちゃんの物語をよく理解してなかったけど、それでもきた。社長とそなたの手をとってライバルだった二人のドラマに祝福と言う名の終わりを与えてあげたところは感動ポイントだよなー。うわ俺「祝福という名の終わり」とか言ってる。うわぁ。

  • スケート靴が氷を切って滑る「カカカカッ」ってSEが良い。ジャンプ前に足元のアップとそのSEが入るのが良い。
  • あいらのオーロラライジングは曲とのつなぎが若干不自然だったな。その点ではりずむの方が良かった。
  • 社長は特に舌足らずで「オーロラライジング」って言えてないよね。終始気になってしまった。「ラ」の連続が辛そう。「ロ」と「ラ」の繋ぎもムズイ。うんうん、「オーロラライジング」ってラ行いっぱいあって言いにくいよね。わかるわかる。でも声優さんは頑張れ。