今年……もとい、去年面白かったものなど

 二年前の記事見返してたら『君に届け』を主観でS級とか言ってた。やっぱ読んでた当時だと評価上がる傾向あるかな。10巻まででストップしてるけど(君に届いちゃった以降見てない)、今はA級下位かB級上位くらいかなと思ってる(幽白評価)。てかあれからもう二年経ってる! 早い! 怖い!
 

 で、俺も一年に区切りをつけるためよそ様のサイトがやってるような「今年の読んだ本のベスト!」のようなことをやってみたいと思うのだが、発売されたばかりのものに手を伸ばさないからやたら古いラインナップになってしまうし、そもそもあんま消化しないので、そんな大それたものは書けない。したがってやや控えめに、印象に残った作品という体で感想とともに挙げていくだけにする。つか年明けた!


BLACK LAGOON SET1 〈期間限定生産〉 [DVD]
アニメ『BLACK LAGOON


 基本的には「あー面白かった」で終われるエンタメ系作品だと思う。双子回のように凄惨だったり陰鬱だったりするところもあるけど、弾丸の雨の中を笑ってかいくぐっていくようなところが基本スタンスだろう。
 重苦しいものよりは爽快痛快な話が好みなため16〜18話の偽札原版の話が好きだった。あと、日本でのレヴィは可愛かったね。


マリア様がみてる 涼風さつさつ (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)
小説『マリア様がみてる


 小説版。いつか小説も読んでみたいなーと思ってたんだけど、普通に面白かった。尖ったところはほとんどないんだけど文章的にも文量的にもスラスラと、さっと読めるし、ドラマもそれほど深刻にならない。
 ギミック的なフックとしてはミステリ、それからそれに準じる要素で、「同じ出来事を他者視点で見る」(あのとき裏で何が起こっていたのか、あの出来事は何だったのかが明かされる)というのが多かったか。
 ストーリーとしては、後半になって祐巳の格が上げられていくのが面白かったな。今で言うと『トリコ』の小松みたいな感じなんだけど、祐巳が褒められてると嬉しくなるんだよな。学園中の生徒の憧れの的である先輩に見初められるって始まりからしてもそうなんだけど、読者の願望を具現化した快感型の作品だ。
 こうやって一つのシリーズを一気に36冊も読んだのは初めての経験だったけど、それに耐えられるくらいの良作だった。出るのかわからんけど早く新刊出て欲しいなー。


魔法少女まどか☆マギカ 1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
アニメ『魔法少女まどか☆マギカ


 世間の評価に反してべっつにーって感じだったけど(やっぱオチが腑に落ちてないらしい)、毎回見どころを作る構成とか、契約するの? しないの? といったフックのかけ方とかに売れるべくして売れた作品を見た、という感心があった。誰が見てもそれなりに面白い作品だったよね。



HUNTER×HUNTER 29 (ジャンプコミックス)
マンガ『HUNTER×HUNTER


 今さら何も言うことはないが、入れざるをえない。物語作品が好きな人は数多くいれど、個々それぞれに趣味は異なっているものだ。でもその人達みんなが本作をすごく面白いと言っている。『まどマギ』もヒットし、誰もが面白いとは言っているがこれは評価のされ方が違う。これだけ数多くの人に熱狂的な支持を受けているというのが凄いと思う。
 一部のアンテナが鋭敏な人にだけ凄さがわかるとか、頭の良い人にだけわかるとか、そういうものではない。この汎用性が脅威だ。


外天楼 (KCデラックス)
マンガ『外天楼』


 『それ町』も好きだし、本作がめちゃくちゃテクいことをやってるとも思わないが、読後放心状態になってしまったからにはこれも入れざるをえない。


 以前の感想



喜嶋先生の静かな世界 (100周年書き下ろし)
小説『喜嶋先生の静かな世界』


 元となった短編既読にもかかわらず、読んでる途中で一度本を閉じて深呼吸したくなるような状態になった。ゆっくり読もう。と思った。
 やってること、起こってることは大したことじゃない。他の人のエピソードなんて何が起こったのかもよくわからない。
 書かれている内容で大事なこと、この小説の肝は主人公くんの感じ方や考え方だろう。それはこれまでの森ミステリィと同様である。その要素は強い方で、よりエッセイ寄りの作品になっていると言っていいだろう。
 そんな内容ではあるのだが、この感動は小説だからこそだな、と痛烈に思ってしまった。



伊藤潤二傑作集 1 富江 上 (朝日コミックス)
マンガ『伊藤潤二作品』


 古典や過去の名作に触れる時、「読みたい」ではなく、「読んでおかなければ」という義務感で読んでいることが多い。
 そういったものは現在にも名を残しているだけあって読めばまぁ面白いのだけど、絵やコマ割りが古臭かったり、萌え的な要素に欠けていたりして取っ付きにくい。読んでいる最中も面白いとは思いながらもどこかストレスを抱えた状態で頑張って読んでいることが多い。いや、これは古い作品に限らないか。人に薦められたからだとか、話題になっているからだとかの理由で作品に触れ、本当に自分の好きな作品だけを見ている人間はいないだろう。
 ところがこれは心から楽しんで読めている。1990年頃の作品が楽しく読める。
 たしかに最初期の絵柄はやや古臭いが、それもすぐに洗練される。絵が古くなっていないのは絵柄がリアル寄りだからだろう。上手すぎる。そして魅力的だ。
 ホラーは毛嫌いしていたので他の作家や作品と比較することができないが、ただただ怖がらせたり、驚かせたりするだけの作風ではない。ホラーが苦手という人にも読んでほしい作品である。





 こんなところだろうか。読んだり見たりしている途中で「こりゃ面白ぇ」となったものはまだあるが、頭をガツンと殴られたような衝撃を受ける作品というのはあまりなかった。今年はそういう作品にたくさん出会いたいものである。というかそういう作品に積極的に触れていきたい。疲れるだろうけど。