『gdgd妖精s』って実はあんまグダってねーんじゃね?
というようなことを言い出す奴が絶対出てくるだろうと思っていた人は少なくないだろう。俺もこんな逆張りめいたことを言いたくはないんだけど思ったんだから仕方ない。
ここでは『gdgd妖精s』のAパートを念頭において語る。
まず「グダグダ」というものがどういう状態を指すかだが、俺は「無駄が多い」という一言にほぼ言い換え可能だと思う。
準ずるイメージとして「締まらない」「落ちない」「つまらない」「進展がない」というのもあるかもしれない。それらも突き詰めれば結局「無駄が多い」ことに起因していると思うが、とにかく「負のイメージがある」ということだ。
『gdgd妖精s』は「小さなことが大事件」な日常系よりもさらに何も起こらない雑談系だ。会話劇である。
お茶会という形式でまったりとどうでもいいことについて話しているからだらだらしているようには見えるし、実際だらだらしているかもしれない。だが、だらだらは=グダグダではない。
ツッコミはしっかりとしているし、落ち担当らしきキノコもちゃんと仕事をしている。しかも、話の入りや前半部分の会話を伏線として拾うことまである。
お笑いのコントなどでは、つまずきの笑いというか、繰り返されるボケのせいで予測される展開に話が進まないことが多い。ファーストフード店で注文する客と店員のやり取りなどを一生やっている。それはそれで良いのだが、少しでもストーリー性のあるものでそういうことをやられると予測しうる展開に話が進まずもどかしい気持ちにさせられることがあるものだ。その状態でネタが面白くなければ「グダってる」と評価されることもあるだろう。
が、こちらは話が進む。進んだ上で落ちる。
5話の「待ち時間」を見ると、シルシルが遅刻したのをきっかけに「待ち時間にも短く感じるものや長く感じるものがあるよね」と話が展開。シルシルのボケとピクピクのツッコミで笑いを取りながら「楽しみなものを待つのは苦ではなく、そうじゃないものを待つのは苦なんだ」⇒「シルシルを待つ時間が苦だったということは……そういうことだったんだ!」と落ちる。気持ち良い。
単なる雑談でも内容が面白いものは「グダグダ」とは言わない気がする。やはり上に挙げたような状態になった時にこそ「グダグダ」と言うだろう。だが『gdgd妖精s』はしっかりとつっこんで笑いを取るし、しっかりと話を展開させ、しっかりと落としている。それでいて面白い。
つまりこれは「グダグダ」じゃないんだよ!
ということである。タイトル詐欺だと非難したいわけではない。