2012年01〜03月期アニメ感想 1

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日常(NHK版)


 全部見てないけど、見てみたらTV放送のまんまというわけじゃなかった。
 まず2クール分が全12話にまとめられているし、OPは1クール目と2クール目のものが交互に流れるし、ネタがシャッフルされている。そのため次にどの話が来るのかという好奇心があり、思ってた以上に興味を持って見れた(もちろん繋がっていた方が面白いと思われるネタは同じ回の中に収められていたはずだが……)。その中でも、一話に一回の小ネタであった縄跳びなんかが4〜5キャラ分まとめられていた部分などは印象深い。小さな工夫だけど面白い試みだったかも。
 しかし俺は博士サイドの方は飛ばして見ていたので、「なるほど。俺は本作に面白いネタと面白くないネタがあったという印象を持っていたが、単に博士サイドが好きじゃなかったのだなぁ」と(わかってはいたけど)実感したことになった。あと、麻衣ちゃん。
 やっぱ一部のキャラの好感度が低すぎたよね。こういうショートショートタイプの作品は自分の好きな作品だけを集めたベストやコンセプト別に分けたまとめを作りたい衝動に駆られるのだけど、もしそれをやってたら予想してた以上に面白く見れたのではないかと思えた再放送だったな。

イナズマイレブンGO

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 途中見なくなってたのだけどクライマックスっぽいこともあって視聴。なんでこんな辛い話にしちゃったんだろうという気はするんだけど、そんな中、前作の遺産である旧キャラの登場がかなり盛り上げに貢献していて、旧キャラの成長した姿が描かれてるだけでもファンは楽しかったのではないかと思う。なんか皆引退しちゃってるようだったのでそこが残念な気もするけど。


 ラスボスが「誰にでも平等な機会を与えたかった」って良いことしようとしたみたいに言ってるけど、その手段が八百長ゲーになるってのは理解しにくい。それって子飼いチームの皆さん(ラスボスの息子含む)だって嫌なんじゃないですか? というわけで、その辺の理屈には同意しがたい。「納得のいかないルールもよくよく見てみるとそれはそれで一理ある言い分だった。同情すべき、一考すべき理由の元に作られたものだった」ってしたかったのかもしれないけど、そこのリンクが繋がってない。アンタがやるべきなのはたとえば寄付するとかの手段で環境を作ってあげることであって八百長奨励することじゃないだろう。八百長試合してたって試合に出させてもらえない生徒はいたわけだし。無理やり「ちょっと同情すべき点のある、本当はそんなに悪い奴じゃないキャラ」に仕立て上げた感が強い。もうちょっと納得できる思想の対立にして欲しかった。
 そうした上で、この真のラスボスポジションにこそ旧キャラを置いておくべきじゃなかったのか。豪炎寺とラスボスさんのポジションを逆にする形の方が良かった気もする。でもそうすると旧作の延長的な空気が濃くなりすぎて、結局はシリーズの継承失敗みたいになってしまっていたのかもしれない。ドラマが旧作に寄っちゃう。

  • なんだかんだで歌付き音楽ずるい。音楽流されたら感動するよ。する。この作品が目指すゴールは主題歌流しながら必殺技連発しまくってゴール決めまくって逆転するとこ。「シュートチェイン!?」
    • でもそんなすごいシュートでも決してゴールネットは突き破らないところにイナイレの良心(?)を見た気がする。
  • 「賢王キングバーン」の出現時モーション(額に手をやる)が好き。44話『天まで届け! みんなのサッカー!!』では何度もそのポーズが見れて、そこが滑稽に感じる部分はあると思うのだけど、俺こういう、変わらない必殺技カットイン演出が好きかもしれない。
    • 一度二度とシュート決められちゃってるシーンなんだから、ここでちょっと化身にも疲労感や焦燥感を持たせるような演出ってのも考えられるんだけど、でもそれはあくまで人間だけで、化身は人型でも人の心がないかのようにいつも同じ動きしか見せないんだよね。窮地のはずだしすでに土つけられてるんだけど、ポーズそのままだから妙に威厳があって格好いい。きっとこのシーンは使い手が弱いから負けてるんであって、化身自体が弱いわけではないんだなって思える。格落ちしてない。
    • こういう盛り上がるor盛り上げるようなシーンでも変わらず平常と同じ動きを見せるってのがなんか良いんだよなー。もちろん『シンフォギア』みたいにラストでちょっと変わって『蒼の一閃 滅破』とかってなるのも熱いんだけど。
  • 本作のカットインってTRPGのダイスロール判定みたいなところがあって、必殺技が勝つときも負ける時も演出は変わらないんだよね。ただストーリーの展開によりその後のシーンで止められたり吹っ飛ばしたりする。
    • だったはずだったんだけど今回からは演出の途中で判定が出るようになってたね。変わっとる。
  • しばらく見てなかった間に皆の肌の色が変わった。日に焼けたような気がすんだけど気のせい? 気のせいか?
  • 豪炎寺さんはホストみたいになってた。やっぱこの作品でまともに良い男ってのは遠藤くんくらいしかいないようだ。いや、かっこいいけどさ。
  • 虎丸くんは成長してもなお後輩ポジションだよな。どれだけ成長しようとも力関係はなかなか変えられない。それが先輩と後輩。






男子高校生の日常

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 先行配信なんて見てなかったのに、本放送始まると癖になっちゃって全話見てしまった。面白かった。銀魂スタッフが作ったと聞いたけど、『銀魂』が毎度毎度くどいくらいにメタネタ(製作サイドの内輪ネタ)を盛り込んでくるのに対してこっちはそういうメタネタがほぼ無くて根っこの部分ではメタネタ苦手らしい俺は安心して見れた。


 内容だけど、ただ笑えるだけのギャグじゃないというか、願望充足型の成分が混入されてる。こんな奴らがいて一緒にバカなことできたら楽しいだろうなーって思うような作品。同じギャグ漫画でも地獄のミサワ作品なんかは違うよね。俺あの世界行きたくないし。
 だいたい、いきなりRPGごっこみたいなの始めた時に乗ってきてくれる奴ってそうはいない。「バカじゃねぇのwww」みたいに、笑いはするけど乗ってはこないってのがきっと大多数だ。でも本作は乗ってくれる。
 逆に低テンションのシュールなノリの冗談や会話にもみんなが共犯関係になって付き合ってくれる。こういう会話がしたいと思ってる男子高校生は多そうだ。『君と僕。』みたいなのとか。
 でも大抵のグループはどちらか片面に偏っているものだろう。本作は両方カバーしてるから万能である。実際には気分が合わない時もあるだろうしこんなにノリの良い奴らはいないだろうけど、本作はテンション高い時は高いし、低い時は低くて、そういったすれ違いからくる気まずさや事故のない、ある種の天国だと思う。
 「ガンダムのプラモデルを空き缶代わりにして蹴り壊す」って部分がわりとこの作品の天国性を象徴してる気がする。ギャグ漫画だから当たり前と言えば当たり前だけど、こういう行き過ぎた行為でもギャグになって許されるのって天国じゃん。こういうことを現実でやったらやった側がギャグのつもりでも、それなりに仲良い間柄でも、嫌がられる。


 でも本作で本当に一番特徴的なのって女子との関係性なのかな。男勝りな女子が多いっつぅか、女子が男を殴るんだよね。つまり、この作者さんにとってはそういうノリで女子と付き合えるのが天国ってことなのかもしれない。やっぱ少年誌文脈に組み込まれてる女子って感じはする。あと男子どもが女子相手にドキドキするようなことがなくって、そういう風になりそうなシチュエーションでもギャグになってしまう。こういったクールなとこからも一種の理想の高校生活っぽさを感じた。「べつにいーもん、恋愛と無縁でも楽しいし」みたいな。

  • ところで、一部女子キャラの目が描かれてないのはなんなんだろう。女子だけじゃなかった気もするけど、わりとただのモブではなさそうな、出演回数の少なくない娘までモブっぽく描かれてる。って思ってたけど、これ、あんま特別なキャラ付けされてないってことなんだろうかな。キャラが立ってないこともないんだけど、(殴る以外は)普通の範疇っていうか、普通の女子の象徴なんだろうな。殴るのはキャラの特徴じゃなく作品の特徴だし。モトハル姉とか、タダクニ妹はわりと「普通」っぽさを追求されてる気がする。
    • 仮説1:普通に、付き合いづらい部分を持っている女子
    • 仮説2:畏怖の対象になってる女子
    • 仮説3:恋愛対象になり得る女子
  • 学校が北・東・西・中央とそれぞれがけっこうバラバラに分かれてんのに遭遇率高いよね。簡単に行き来したり一緒に帰ったりしてる。他校の生徒とも気軽に会えるのは楽しいかもしれんけど……近いの?
  • OP『Shiny tale』の歌詞、「この狭い部屋で書いた物語が 紡ぐ小説のプロローグ」って普通に「小説書いてました」ってだけのことだよね。「人生」を「物語」や「冒険」と重ねて「この狭い部屋でなんかしてたのが俺の人生という名の物語のプロローグ」「俺の人生という物語はこの狭い部屋から始まった」的なことが言いたいんだろうけどこれだとただ部屋で小説書いてただけってことになっちゃうよね。「小説」を「人生」とか「俺たち」って言葉に置き換えるべきなんじゃないのか。そもそも「書いた物語が紡ぐ小説のプロローグ」って何じゃこの文章は。「書いた物語」って言っちゃったら「物語」が比喩でも何でもない「小説」のことになっちゃうし、そうすると「物語」=「小説」なんだから、「書いた小説が紡ぐ小説のプロローグ」ってレトリックじゃなく同語反復しちゃってることになるじゃん。誰も笑わんのか。つかマジでどういう意味なの? だれか教えて!
    • 「光か闇か分からずに」って典型的中二歌詞の部分に文学少女が合わせられてるのに気付いて感心した。たしかに「光」とか「闇」とか言うのはV系の主たる特徴だとは思うけどあまりに典型的すぎて逆に珍しいのではないか。





夏目友人帳

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 今さらだが、微妙にしっくりこない作品である。昔の夏目が同級生にからかわれたりいじめられたり、預かり手の家から煙たがられたりってとこらへん。預かり主の親はいいとして、同級生の態度が一辺倒にすぎるというか、同級生って何人もいるわけだから、ゲストキャラ以外の端役でももうちょい色んな奴がいていいと思うんだよね。3期12話「帰る場所」の預かり手の子がそんな感じだったけど。
 あ、『ちはやふる』のかるた隠しのシーン見ててわかった。この作品には「ちょっと男子やめなよー」っていう子がいない。実際に助けなくてもそういう存在がいるだけでいいんだけどな。ゲストキャラ以外で。


 あと実際に見たらたしかに怖いのかもしれないけど、夏目ももうちょい妖怪慣れしていいと思ってしまう。戦う手段を身に着けようとするとかさ。それって夏目が生きてくのに必要なことだし。せめて上手いこと無視できるようになるとか。妖怪と会話することがあるのはいいとして、「じゃーな」と手を挙げて別れるのやめるとか、そういうとこ徹底すべき。
 そういうとこ気にしていくと、いわゆるヘタレ系の主人公ってほどではないにしろ結構な弱キャラだよなと思う。見てる方は「しっかりしろよ」と夏目の不器用さにやきもきしてしまうので、もう少したくましくあって欲しい。そりゃ両親いなくて寂しい気持ちとか人の家にいなきゃいけない息苦しさとかは想像もできんくらいあるのだろうけどもさ。
 『妖狐×僕SS』の凛々蝶みたいに形だけでも強がるとか。

  • 夏目にしろ凛々蝶にしろ自分が傷ついてる分優しすぎて気を使いすぎて距離取りすぎてるってキャラ。もっとこう、デリカシーなく夏目のプライベートに強引にぐいぐい侵入して迷惑かけまくる悪友みたいのがいれば良いのにね。友人たちとの会話は妖怪たちとの会話に比べてギャグらしいギャグもなく、どこかよそよそしい印象を受けてしまうし。今んとこそのタイプで、夏目があんま気を使ってないのってニャンコ先生と中級くらいのもんだけど、人間側にそういうのがいれば良かったのにね。そういう奴がいたらこの作品の問題点わりと解決しちゃってそれこそお話にならないのだろうけど。
    • 『ハトプリ』の来海えりか様とか『WORKING』の山田的な?
    • レベルE』のバカ王子ではカードとして強すぎるか?
    • ホモ系の変態が良いような気がする。
    • あ〜あ、名取さんがホモだったらなー!
    • ヒノエはもうちょいお色気を振りまきつつからかうような感じで夏目に迫るかもっと積極的にべたべたしてくれたら俺好み。でも本作でそういった萌え要素はありえない。夏目は萌え要素が少ない。
  • だから、ニャンコ先生と入れ替わる回は面白かった。でもあれ、一歩間違うと米澤穂信の『ボトルネック』的なことになるよね。「俺なんかよりニャンコ先生の方が……」。
  • 沢城みゆきさんはこのタイプの声が一番可愛い気がする。キャラの可愛さもあるだろうけど。言い方悪いけど声の掠れ(?)がおばさんっぽくて親しみやすい。あまり若さが感じられない。


 とはいえ本作って見ていて癒されるというか、心地いい雰囲気があるんだよなー。そこが最大の武器だと思うし、アニメが4期も続いた理由でもあると思うんだけど、確実に需要あるタイプだ。刺激的な作品よりこういうの見たいって時あるものな。まさに今がそうなんだけど。




ミルキィホームズ 第二幕

探偵オペラ ミルキィホームズ 第2幕【3】 [Blu-ray]
 なんだかんだで一番面白かったのって一期第04話「バリツの秘密」じゃね? せっかく期待の二期が始まったのはいいけど結局ここを超えられてないよね。もしやこの作品、それほどには面白い作品ではなかったのでは? という疑念が沸いてきた。
 実際二期はちょっとだけ違っていて、ミルキィホームズのダメダメっぷりが深刻化したことでアンリエッタさんが早い段階でマジ切れ⇒全体がシリアス化してんだよね。そういうドラマとしては一期より面白い。特に良かったのがアンリエッタさんが一人泥酔してミルキィホームズの栄光を思い返しているところで、死んだでもないのに堕落してしまい自分のライバルになってくれない。そしてなんとか立ち直らせようとしても力が及ばなかった無念が描かれていて、その辺のシリアスドラマよりよっぽど切ない。『まどマギ』とタメ張れるレベルの悪堕ち(魔女化)と言うと言いすぎと思われるかもしれないけど、自分に落ち度がないのに不完全燃焼で終わらなきゃならないのってけっこう辛いと思う。北島マヤがダメダメになった世界の姫川亜弓と喩えるのが妥当だろう。
 とはいえ基本のストーリーラインは本当に一期と同じなんだよなー。これでギャグが面白ければまだ救われたんだけど……がっかりポイントだわ。

  • クズっぷりに拍車がかかりニコニコで「ちょっと笑えないレベル」とまで評されていたシャロや、いまいちもいまにも萌えられないコーデリアさんとかより、G4の方がよっぽど良いよなーって思った。主役に据えるのは無理だけど単純に見ていて満足感あるんだよな。
  • 中盤も過ぎたあたりで、「あ、そういやこのOPってコミカルな絵で騙されてたけど太陽を虫眼鏡で見ちゃいけませんを理解した上でガン無視してんだなー」とか「あ、G4の声優って明智小衣以外エンジェル隊なんだなー」とか気付く。
  • コーデリアさんのオペラツッコミ(ex「タァイトォルなぁがぁすぅぎぃ〜〜〜〜〜♪」)はキレがなさ過ぎてちょっと寒いことになってると思う。
  • 二期からは文字を補助的に使う演出がなされている。他のアニメなら一度では聞き取れないのを承知の上で被せられていたような台詞なんかが漫画の吹き出しで表現されたりしてる。わかりやすくはあるけど、俺はそういうアニメらしからぬことはあまりやって欲しくないという保守的な人間だから素直に喜べない。「『アニメらしい』ってのは、どんなだ?」
  • 一期から思ってたけど本作のサブタイトルの元ネタって結構マイナーなの混じってて、予想以上にピンと来ない。パロる意味あんのかってレベル。
  • 二期は作画がちょっと……。
  • 最終回。アンリエッタがシャロ以外のミルキィホームズを気にかけてたり、シャロ以外のミルキィがアンリエッタを慕ってたりするのが違和感。アンリエッタアンリエッタ言ってるのはシャロだけで、アンリエッタもシャロ以外見てないイメージあんだけど。てかもうアンリエッタ×シャロでいいじゃん。